「あー!そうだった!じゃ、慎也、いくままた今度ね!」

「バイバーイ♪」

「じゃあなー」

友姫さんを見送った後、なんだか気まずくなった私達。



「なぁ、慎也」

「何?」

無言で歩いてた私達。

その沈黙を破ったのは友禅君だった。


「慎也はさ、友姫のこと好き?」

な、何でそんなこと……


「え?もちろんす」

突然橋田君の声が聞こえなくなった。

俯いてた顔を上げると、友禅君が橋田君の口に人指し指を当てていた。

これは、どういう状況?


「嘘はげんきーん。本当のこと言うまで逃がさないぞー?」

嘘って。

友禅君、橋田君が友姫さんを好きなのは本当だよ?

昨日の話、聞いてたでしょ?

あの丘で友姫さんのこと話してる時の橋田君、幸せそうだったの。

だから嘘じゃないんだよ。



「嘘じゃないって。本当のことだよ」

「じゃあ何で、わけもなく突然好香ちゃんの学校に転校したわけ?」

「んなの、たまたまだろうが」

「先生に希望したらしいじゃん。あの学校に行きたいって。あの学校、別に慎也にとってメリットがあるわけでもないでしょ?」

え……。

橋田君……親の都合、とかじゃないの?


確か、橋田君はサッカー部のエース。

私の学校はサッカー部はあるけど、言うほど強くないし。

じゃあ何で……。


「それは……」

「友姫のこと、まだ引きずってるのは分かるけど、そろそろ新しい恋初めても良いんじゃない?」

新しい恋?
なんのこと?
何を言ってるの?

「それとも……」

「っ……」

友禅君が橋田君に何か言ったみたいだけど、聞こえなかった。

新しい恋って……何?