「いいんだよ」


帰宅して、お茶を飲みながらゼンさんは言う。


「社長は、自分がみなみのじいさんだと思ってやりたいことをやってるんだ。こっちもホントのじいさんとして甘えるのが筋だろ」


「私だって、社長がみなみのおじいちゃんになってくれるのは嬉しいけど。でも、なんか悪いなぁって」


「んー……みなみのためってだけでもないんだが……」


ゼンさんが言いかけてやめた。
私の手からみなみを受け取る。そのまま、二人でベランダに出てしまった。


「ゼンさん?」


私は追いかけていって、ベランダに顔を出す。
彼が言いよどむにはワケがある。私はそのワケを聞いてもいい人間だ。


「言いかけてやめるのナシ」


「うん……わかった」


ゼンさんはみなみを揺らしながら、口を開く。