予約したのは近所の神社。
少し行けば大きくて有名な神社もあるけれど、近さと静かな方を優先した。大きな神社は観光地でもあるもん。

私とゼンさんはかっちりスーツで正装。みなみは退院の時に着たぴらっぴらの白いセレモニードレスを着せられている。
何度見ても、みなみの一重の和顔と似合わなくて吹き出しそうになってしまう。
うちのみなみ選手は度胸と愛嬌で勝負しなければならない女子だろう。

待ち合わせは神社にしたけど、私たちがタクシーで到着するとすでにワクワク全開の社長が待っていた。


「おはよう!」


「早ぇーよ、おっさん」


ゼンさんが冷淡な声で答えた。ゼンさんは社長に対して常日頃こういう態度だ。


「早くない!15分前だ」


社長はゼンさんに何を言われてもどうでもいいらしい。
さかさかと私に寄ってきて、腕の中のみなみを見つめる。


「みなたん、おはよう!じーじですよ」


とろけそうな瞳。ホント、この人もう結婚する気ないと思う。
息子代わりのゼンさんと、孫代わりのみなみがいれば、それでOKってね。