社長と私は、この件について少し前から話し合っていた。
お義母さんにみなみを会わせたい。

しかし、お義母さんの病状がいっそう進行していることも、ゼンさんのご実家から聞いていた。

若年性アルツハイマーのお義母さん。
前回会いに行った時、私は妊娠中で、ほんの少しだけどお義母さんと会話ができた。
今はどうだろう。調子が悪ければ、誰とも会えないかもしれない。


「みなみは、長時間の車移動でも大丈夫か?」


「平気。もうじき8ヶ月だし、ごはんもミルクもオムツも持っていくから」


「まだ寒い時期に遠出させたくないな」


ゼンさんは気が進まない理由をみなみのせいにする。
ズルい態度になるのは、彼の中に恐怖があるからだ。

お義母さんの病気が進んでしまった事実。
前回の邂逅も、彼は私たちを遠くから見守ることしかできなかった。

お義母さんは小さい頃のゼンさんは覚えていた。
でも、今のゼンさんのことはすでにわからない。