「どういうことだ?」


久しぶりに、ゼンさんが上司の顔で私を見た。
警戒と、困惑を隠すような表情。

私は怯まない。
これは、ずっと計画していたことだ。

本当はもう少し暖かくなってからと思っていたけれど、私の仕事復帰が早まったこともあり、急遽調整した。


私はゼンさんにスマホの画面で温泉宿のホームページを見せる。
彼にはその所在地がわかるはずだ。
そして、私の意図にも気づくはずだ。


「……そういうことか」



わずかな沈黙を挟んで、ゼンさんが口にした。


「お義母さんに会いに行こう」


私の言葉に、ゼンさんは戸惑った表情をしている。