幼稚園だって小学校受験を目指した私立校から、のんびりムードなところまであるわけだから、ニーズに合ったところに入れればいいんだろうけど、どうもピンとこない。
働く母親は保育園、専業ママは幼稚園という括り。


「純誠が落ち着いたら、また社会に出たいという気持ちもゼロじゃないの。ただ、預け先に悩む部分も出てくるんだろうなと思うと、佐波さんが今悩んでいることは、けして人事じゃないわ」


美保子さんが親身な口調で答える。
そっか、てっきり美保子さんは専業ママになるのかと思っていたけれど、そうじゃないんだ。
考えてみたら、私より10歳年上の彼女は、10年分、私より社会に携わってきた時間は長い。働いている自分の方が、「らしく」感じたって無理はない。


「そうだ、ひとつ思い当たるところがあるわ」


美保子さんが声をあげた。


「佐波さんのおうちに行く途中に無認可の園がひとつあったはず。大きな大学の裏手だから、○○区になるかしら?私たちの家の中間だから駅遠だし、認可園みたいな抽選システムの外だから、あらためて問い合わせてみたら?」


「そんなところがあるんだ。どのへん?教えてほしい!」