「えーと、それじゃ空きが出るまで待つんですね。ちなみに、どのくらいのお子さんが待ってるんですか?」


「はあ、保育の切迫度によって優先点数が変わるので、お子さんが何番目とは言えませんが、ゼロ歳児さんですと現時点で75名の待機児童がいます」


「75名!」


私はみなみを抱く手に力をこめて、叫んでしまった。
ゼロ歳児だけで75名?全体ならどのくらいになるだろう。

自分の優先点数なるものがどのくらいかはわからないけれど、最悪の場合は75人待ちってことだ。しかも、いつ空くかわからないのに。


「区立、私立ともに認可園の抽選に落ちてしまった方へ、保育室の案内を差し上げています。こちらに問い合わせてみるのはいかがでしょう」


男性職員は何度もこの言葉を口にしているのだろう。
熱意のない、決まりきった文言として言う。

そして、その言葉の裏にあるこんな感情すら透けてしまいそうだ。

『どうせ、そっちももういっぱいだろうけどー』

ああー、ムッカつくなぁ、こいつ!!

こっちが困ってるのに、その態度!
せめて振りでもいいから、親身そうな顔をしてみせろよう!