女性と別れ、私たちは電車に乗った。
私はぽつりと言った。


「彼女のところにも、赤ちゃんがやってくるといいね」


私のように偶然で授かってしまう命もある。美保子さんのように悩みぬいて授かった命もある。
欲しいと授かるはイコールじゃない。

だけど、母になりたい女性すべてに子どもができたら、そんな幸福は他に無いのに。


「ええ、本当に」


言葉すくなに答えた美保子さんは、目頭に涙を浮かべていた。


私たちは母親。
苦しくても、大変でも、母親。

子どもたちに、母親にしてもらえた感謝を忘れちゃいけない。

私は自分の胸に手を当てた。