「え!?そこのスタジオですか!!私も会員なんです!」


彼女が驚いた顔で答える。
私はぱっと彼女の全身を見渡した。

コートを羽織っているけど、お腹のふくらみはわからない。
でも、初期の妊婦さんかな。


彼女がゆっくりと屈み、買い物袋をアスファルトに下ろす。感慨深そうに純誠くんの手を握った。
純誠くんは大きな目で知らない女の人を見つめている。


「私、スタジオのプレマタニティビクスに通ってるんです。妊活中なんです」


彼女は純誠くんの手の甲を撫でている。いとおしそうに、ゆっくりと。

私は自分の疑いと間違いを瞬時に恥じた。


「結婚して5年、なかなか授からなくて。先々月から通ってるんです。早く赤ちゃんがやってこないかなって、毎日ベビ待ち中です」


「そうなんですね……」


私は言葉を見つけられず、ようやく相槌程度の言葉を発した。