一重の小さな目がふにゃっと細くなる。
口元は尖っているかへの字かがデフォルトなんだけど、お湯に浸かった途端こちらもふわふわっと緩んだ。
吐息がふうっと聞こえた。
赤ちゃんでも、お風呂の反応って大人と似てるわ。

後頭部を支えられ、お湯の中でみなみは手足を動かしている。
脚なんかカエルのようなキック。
小さなベビーバスじゃできなかったダイナミックな動きだ。


「今にも泳ぎそうだぞ」


ゼンさんが感心して言った。

それからみなみは湯船から上がり、ゼンさんの膝の上で身体を洗われた。
この日のためにゼンさんは、産院で受けた沐浴指導を思い出し、何度もイメトレしていた様子。
手際よくみなみを洗っていく。

当のみなみは暴れず、いい子にしている。

えらいぞ、みなみ。

きっと、お風呂は気持ちいいから文句がないのだろう。

私は脱衣所にしゃがみこんで、二人の奮闘を見守る。