妊娠超過。
あの時は、今ほどツライ時はないと思っていた。

でも、あれから半年近く経った今の方が、よほど地獄だ。

私は母親になりそこなっている。


「みなみは、ミルク飲んでくれたよ」


「え!?」


私は信じられない気持ちで顔を上げた。
無力感がより私の心を埋め尽くす。

ゼンさんが隣に座り、私を慰めるように言った。


「おまえの姿が見えなくなって、みなみは大泣きしたんだけれどな。ママがいないと割り切ったのか、俺が与えたらミルクを全部飲んだよ。きっと、おまえの姿を見て、普通におっぱいがもらえるって期待し続けてたんだろうな」


つまり、私は席を外せば、みなみは割り切ることができたのだ。
そんな単純な話だったのか。


「みなみが話せれば、気持ちがわかるんだけど。そうもいかないよな」