「落ち着け!佐波!みなみは俺が見るから、おまえは少し休め!」


みなみは私が離れるといっそう大きな声で泣き出した。

怖かっただろう。
母親がすごい形相で口を塞いできたんだ。

鼻が詰まりやすい赤ん坊にはそれだけで死を願う行為に等しい。


私は……、

何をしてしまったんだろう……。


娘に……、なんてことを。


いたたまれず、私はその場を飛び出した。
ゼンさんが制止する声が聞こえる。

それでも止まれなかった。


母親失格だ。

子どもができて結婚した私。
私は所詮、きちんとした母親にはなれないんだ。

私のせいだ。
このままじゃ、みなみはお腹が減って飢え死にだ。
免れたって、私が母親じゃみなみもゼンさんも不幸になる。