娘を可愛いと思えないなんて。

私は母親失格なんじゃなかろうか。

どこか頭がおかしいんじゃないだろうか。
母性に欠陥があるんじゃなかろうか。


私は自分の心にぞっとしながら、それを口に出せずにいる。



「なあ、初詣はいつ行く?」


リビングで父が呑気な声を上げた。
母がおたまを手に考える。


「そうね、今日は混んでるんだろうし、みなみちゃんがいるんだから無理しなくてもいいんじゃない?」


「近所の神社なら、それほど混んでないかもしれませんよ」


ゼンさんがみなみを奪い返し、私の両親に答えた。


「じゃあ、初詣を済ませてから、新年会にしましょうかね」


父が社長に同意を求め、社長もうんうんと頷く。

この人たちは早く一杯始めてしまいたいだけだ。