しかし、美保子さんはアハハと大きく笑った。
上品な彼女にしては豪快な笑い方だった。


「私もよ。あんなに欲しかった赤ちゃんなのに、最近は『少し離れたいなぁ』なんて思っちゃう。ダメだなぁって思いつつ、疲れちゃって」


意外な答えに驚く私。
年上で綺麗で何でも完璧そうな美保子さんが?


「え?美保子さんもなの?……でも、純誠くん、とってもイイ子で育てやすそうな感じだけど……」


「見てればわかるわよ、うちのぼっちゃんの面倒なところ」


美保子さんが新しいお茶を注いでくれ、お茶うけの最中を出してくる。
すると、ちょうどよく純誠くんがグズグズし始める。
そして、あっという間に大声で泣き出した。

その声が……。


「きぃぃぃぃあぁぁぁぁっ!」


みなみは横で円形のガラガラをぶんぶん振って遊んでいたけれど、目を見開いてそっちを見る。

聞いたことのない音だったのだろう。驚いているみたい。