はあ、惨めだな。
不思議なことに心は大丈夫みたい。
さすが嘘つきの天才。
あたし、自分にも嘘をつくのが得意みたい。
深くかぶっていたフードをはずして空を見上げるとでっかーい月が見えた。
満月だ。
それをみた途端になんだか苦しくなって気がついたときには涙がこぼれていた。
『助けて。』
心の奥底で思っていたことが口に出てしまったみたい。
でもあたしは知っている。
こんな嘘つきのあたしを助けてくれる人など誰もいないことを。
せめて自分に素直だったら友達とかに助けを求められたのかもしれない。
だけどそんなことはできない。
このアザと頭のケガを見られたら引かれるだけだろう。
もういいや。こんなこと。
『おやすみ。お月さま。神様。』
と言って私は眠りに落ちた。
『ねぇ、もしかして愛ちゃん??』
やばい。ガチで寝ちゃった。
でもなんでここに相原先生がいるんだろう?
なんであたしの名前を知ってるの?
苗字の竹澤って言われるのは分かるけどなんで下の名前?
わけわかんないよ。
適当に返すか。
『いや、違いますけど、あなた誰ですか?』
あたしはフードを深くかぶって寝たのだからあたしの顔はしっかりと見えてないはず。
『いや〜、愛ちゃんでしょ?カバン。真っ赤なカバン。私も赤好きだからあなたのこと覚えちゃったの。なに、どうしたの。こんなところで。家に帰らなきゃだめでしょう。』
うわ〜、やらかしてしまった。
どうしよう。面倒なことになりそうだな。
『ここが家です。』
とっさにそう答えてしまった(笑)
なんてわかりやすい嘘なんだろう。
『冗談にもほどがあるでしょ。』
『やだ。あたしは帰らないです。』
『なんで?』
先生はどこまで聞いてくるのだろうか。
『嫌だから。』
やばい。なんか涙出そう。
なんでなの。
あたし何も話してないのに。
そう思ったときにはもう遅かった。
涙は止まることを知らずに流れ続けていた。
始めて人の前で泣いちゃったな。
悔しい。
しかも初対面の先生の前で。恥ずかしい。
そう思っていたとき、あたしの頭に柔らかいものがあたっているような気がした。
そう。それは先生の胸だった。
あたしは少しの間先生の胸の中で泣いた。
頭痛いのに先生ったら強く抱きしめてくる。
『うちにおいで。みんなには秘密だからね。』
コクリ。
あたしは頷いて先生の車に乗った。
先生の車に乗ったとき、あたしの頭は自分が思っていたよりも浅い傷だということがわかった。
フードをはずしてもばれなかったもんね。
『着いたよ。立てる?』
『はい。』
こんな可愛い人なのに彼氏がいないみたい。あたしったらてっきり彼氏と同居でもしているのかと思ってた。
整えられた部屋。
いい香りがする。
『愛ちゃん。お風呂入ろうか。』
『えっ?』
びっくりして聞き返してしまった。
『お風呂だよ。一緒に入る?』
『え…恥ずかしいです。』
『嫌なの??』
『いえ…そんなことは…』
どうしよう。アザとか見られちゃう。
まずいよね。
『嘘よ。冗談。先お風呂入っていいよ。
下着と服はあたしのだけど貸してあげるから。』
『あの…!やっぱり一緒に入ってください。1人は怖くて…』
『えっ?』
あたしと先生の声が重なった。
自分で言ったにも関わらずびっくりしちゃった。なんてことを言ってしまったんだろう。
こんなのセクハラじゃんか!
しかもあたしそんな弱くないのに!
何言ってんだよ、この口は!
口を軽くつねるあたし。
『いいわよ。しょうがないなあ。初対面で家連れてきてお風呂って笑えるわね。』
先生も驚いていたはずなのに断らなかったのが不思議でたまらない。
『あ!』
やばい。声に出しちゃった。
このままだとアザ見られる。
頭の傷もバレる。
『どうしたの?』
『いや…何でもないです……』
『じゃお湯も沸いたし入ろっか。』
『はい。あの先生?これ見てもびっくりしないでほしいんだけどいいですか?』
『何〜?何か秘密でもあるの〜?』
面白そうに聞いてくる。
『そんなんじゃなくて。真剣に言ってるんです。』
『ごめん。ごめん。冗談よ。大丈夫。だからさっさとお風呂入るわよ。』
『はい。』
先生はどんどん服を脱いでいくのに
あたしはまだパーカーを脱いだだけ。
『じゃあ先に入るね。』
と言ってさっさと入っていっちゃった。
あたしも裸になった。
なんかこういうのどきどきするな。先生の胸触ってみたいと思っちゃった。
あたし女の子好きなのかな。そういえば昔から女の子好きだったっけ。
にしてもこのアザはやばいか。
でも大丈夫って先生言ってたからきっと大丈夫だな。
『先生、入るよ〜。』
『はーい。』
お風呂のドアを開けた。
先生は驚いた顔をしている。
ねえ、そんな顔見たらあたし苦しくなるじゃんか。
なんか言ってよ、先生。
あたしの頬に大粒の涙がこぼれ落ちた。
はは。今日のあたし泣いてばっかだな。
そしたら先生裸なのにも関わらずまたあたしを抱きしめた。
『辛かったね…』
そのとき思ったの。
この人どんだけいい人なんだよって(笑)
ほんとはもっともっと泣きたかったけどあたしは心にブレーキをかけた。
そして、
『先生って、身長の割りには胸大っきいね。』
なんていう冗談を言った。
『何よ。愛こそ高2の割りにあたしよりでかいじゃない!!』
あ…
『先生、今愛って言った?』
『言ったけど…?』
『なんでもない!先生ありがとう。なんかごめんね。』
『いいの。あたしにはなんかわかるから。』
むにゅ。
先生があたしの胸を揉んだ。
揉んだっていうより触ったが正しいかな?笑
『高校生のおっぱいはなかなかいいな!』
『やだ〜!先生のも触るよ!』
『いいよ///』
なにそれ。なにその顔。
なにその声。
反則。なんで照れてるんですか?
もうすっかりあたしは先生に惚れちゃってる。
あたしも少し先生の胸を触った。
揉んではないけどね(笑)
さすがに歳上だからさ…
『なんだ…それだけでいいの?私こんな触ってんのに?』
『歳上ですからね…』
って言ったら先生の手つきが意地悪になった。
さっきより激しくなってるし!
『んっ』
顔が赤くなる。
『感じてる?』
『なんのことですか?もうやめてください!』
『ごめん。遊びすぎたね。』
そう言って先生はあたしの体を丁寧に優しく洗ってくれた。