翌日目が覚めたのは、もう日が高く上ったあとで。
枕元の鳴らない目覚まし時計は11時を回ったところを指していた。

家の中は静かで。

誰も私を起こしに来る人はいない。

今日は、どうやって一日を消化しよう?

寝起きの頭でぼんやりそんなことを考える。
学校という選択肢が一瞬浮かんで首を振る。
どれだけ行ってないのか、日数を数えるのも億劫だ。
学校をサボっても両親はもう何も言わなくなった。

泳ぐことのできなくなった娘を水泳の名門校と言われる学校へ送り出すことの残酷さを理解したのか。

それとももう私には何を期待してもだめだと諦めたのか。

私にはその真意は分からない。
両親だけじゃない。
先生たちだってそうだ。

水泳選手として使えなくなった私に学校側は用がない。
申し訳程度の家庭訪問と数回の電話をやり過ごして、経過観察。

母と先生たちの会話をパズルみたいにつないで、私の処遇をどうすべきか彼らがもて余していることも知っている。

選択肢は、そう多くないことも。

普通科への編入か。

他校への転校か。

提示された未来は、どちらも私の欲しいものじゃない。

今更普通科に編入したって、勉強について行ける自信もないし。
特別今の学校に未練はないけれど、残りの高校生活はもう1年もないっていうのに今更転校っていうのも気が進まない。

だけど、編入か転校は時間の問題で、現実は私に優しくないし、時計の針は一秒一秒正確に冷酷に時を刻み続けている。

私の気持ちなんて、お構いなしだ。