傍からこの二人を見たら、一体どんな風に映るんだろう?

二人を見てざわつく周囲の空気と雑音を拾いながら、私はとても場違いなことを考えていた。

そしてたぶん多くの人が想像するだろう二人の関係を勝手に当てはめて、ぐしゃりと私の中の何かが音を立てる。

一度足を止めてしまった私は、逃げ出すタイミングを失ってしまったらしいと悟る。
もう見なかった事にはできなかった。
焼け付くような感情が、私を突き動かす。

「何、やってんの?」

必死で自分を抑えつけながら、平静を装った声を出す。

割り込むことに躊躇いはなかった。
私を見て少しだけ驚いていた二人を一瞥して、私は湊が掴んでいる腕を振りほどかせる。
私が湊の手首に力を込めると湊は何の抵抗も示さず私に従った。

湊の指が剥がれた彩愛さんの右腕に、湊の手形がうっすらとついて赤くなっていた。

私には決してつくことのない、赤い痕。

それを見ながら、私は彩愛さんがとても羨ましくなった。

また胸の奥が焦がれる。