「あんた、何考えてるの?」
「あんたじゃない、湊。まぁそれは置いといてこれ、超難しくない?っていうかできるやついんの?」
私は先ほど湊に買われた。
でも買われたというよりも飼われたといったほうが正しい気がする。
湊は無意味には私を連れまわした。
開いている店なんてコンビニか居酒屋くらいで、そのどちらもスルーして路上ライブを聞いて歩いた。
特別何か目的があるわけじゃなく、ただ徘徊して回るだけで、湊は私に何も聞かなかった。
だから私も湊に何も聞かなかった。
聞いてはいけないような気もしたし、聞く必要がない気もした。
湊と言葉を交わしながら歩く夜の街はいつもただ延々と一人で歩く道と少しだけ違うもののように感じられて、少しだけ楽しい。
そんな時間を過ごしているうちにいつのまにかさっきまでの険悪さはどこかへ消えてしまっていた。
歩き疲れたというと、カラオケ屋の入っているビルに連れて行かれた。でもカラオケに行くのではなく、そのビルの一階にあるゲーセンで、湊は今も延々と百円玉を無駄に消費し続けている。
こいつ、馬鹿なのかもしれない。
今更そう思った。
「あんたじゃない、湊。まぁそれは置いといてこれ、超難しくない?っていうかできるやついんの?」
私は先ほど湊に買われた。
でも買われたというよりも飼われたといったほうが正しい気がする。
湊は無意味には私を連れまわした。
開いている店なんてコンビニか居酒屋くらいで、そのどちらもスルーして路上ライブを聞いて歩いた。
特別何か目的があるわけじゃなく、ただ徘徊して回るだけで、湊は私に何も聞かなかった。
だから私も湊に何も聞かなかった。
聞いてはいけないような気もしたし、聞く必要がない気もした。
湊と言葉を交わしながら歩く夜の街はいつもただ延々と一人で歩く道と少しだけ違うもののように感じられて、少しだけ楽しい。
そんな時間を過ごしているうちにいつのまにかさっきまでの険悪さはどこかへ消えてしまっていた。
歩き疲れたというと、カラオケ屋の入っているビルに連れて行かれた。でもカラオケに行くのではなく、そのビルの一階にあるゲーセンで、湊は今も延々と百円玉を無駄に消費し続けている。
こいつ、馬鹿なのかもしれない。
今更そう思った。