「……あんたには関係ないじゃない!!」

「まぁ、確かにないけどさ」

ふぅと息を吐くついでのように、口角を上げて奴は私を嘲笑った。

「ねぇ、そうやって生きていて今楽しい?」

「うるさい!!」

「そんな風に生きて、なんか意味あるの?」

「うるさいよ!!」

両耳をふさぎたい衝動に駆られる。
生きている意味なんてないんだって、分かり切っている現実を確認させないで。

「ずっと威嚇しっぱなしで、まるでノラネコだ」

「うるさい!うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい」

どうして出会ったばかりのこの男にこんな事を言われなくちゃならない?

なんで私の傷をえぐるの?

一体何様のつもりなの?

私は感情に任せて叫ぶ。

「あんたに何が分かるのよ?勝手気まま、自由に歌を歌ってるだけのあんたに、好きなものを奪われた苦しみが、屈辱が、分かるわけないじゃない!」

一気にまくし立てると息が切れた。

ああ、怒るのにもエネルギーがいるんだなんて、ふと場違いなことを思う。
だけど私の怒のエネルギーは、彼にとって少しばかり風が吹いたくらいの影響しかないんだと、彼の表情でそう分かる。

何が可笑しいのか、クスクスと笑っている。
私にはこの男が理解できない。