こんな現実。
考えてもため息しか出てこない。
深く深くため息をついて、とりあえず部屋着から洋服に着替えた。
何もすることがないと、一日がこんなに長いんだって今までの私は知らなかった。
決められた毎日を消化していた時の方が、ずっと楽だった。
一日があまりに長くて、起きていることが億劫になる。
だからと言って、寝るのも疲れる。
そもそもこうなってからよく眠れない。
悪夢に追いかけられるのはあまり良い気分じゃないし。
『どうすればいいんだろう?』
なんてもし口にすれば、えらそうに大人が分かりきったセリフをずらずら並べるのが目に見えているので意地でも言わないけど。
外野からわざわざ言われなくてもこのままではいけないと、本当は誰よりも分かっているのだ。
だけど心と体が拒絶する。
体と心がバラバラで歯車がくるってしまった今の私では、誰の言葉も私の中に巧く届かなくて。
それどころか困ったことに息苦しさを強くさせるだけで。
水の中じゃないのに、溺れてしまいそうだ。
ベッドの上に倒れ込んでお気に入りのぬいぐるみを抱きしめると顔をうずめ唇をかみしめた。
どうしてこんなことになったのだろう?
私が一体何をしたというのだろう?
何度考えたか分からない「どうして」はいつもみたいに空回り。
ふと視線をクローゼットに向ける。
クローゼットの中にはずっと私が憧れていた高校の制服がきちんとアイロンをかけた状態で収まっている。
初めて袖を通した時の感覚を今でも覚えている。
あの時は、期待と希望しかなかった。
「学校は行きたくない、な」
だけど今は。
袖を通すことすら煩わしい。
学校に行くことで不特定多数から私に向かって向けられるあの視線に耐えられない。
まぶたの裏に焼き付いて離れない無遠慮な視線の数々を思い出して吐き気がした。
トップだった私に向けられていた羨望と敬意は、泳ぐ事のできなくなった途端に、同情と哀れみに変わった。
でもきっと私の失脚を内心喜ぶ者が多くいたに違いない。あそこにいたのはライバルなんかじゃなくて、全てが私の椅子を狙う敵でしかなかったのだから。
一つしかない椅子を、今この瞬間も誰かが狙っている。
私が二度と座ることのできないあの椅子を。
正直に言えば、憎らしい。ドロドロと黒い感情が渦を巻く。
だが一方で誰にもこんな醜い自分を見せたくないと私自身が叫んでいた。そんなことをしては、自分が負け犬だと周りに主張しているようなものだ。僅かな動作や言葉の端々に、露見する事が恐ろしかった。
ちっぽけな私のプライドが、泣く事さえ許さなかった。
考えてもため息しか出てこない。
深く深くため息をついて、とりあえず部屋着から洋服に着替えた。
何もすることがないと、一日がこんなに長いんだって今までの私は知らなかった。
決められた毎日を消化していた時の方が、ずっと楽だった。
一日があまりに長くて、起きていることが億劫になる。
だからと言って、寝るのも疲れる。
そもそもこうなってからよく眠れない。
悪夢に追いかけられるのはあまり良い気分じゃないし。
『どうすればいいんだろう?』
なんてもし口にすれば、えらそうに大人が分かりきったセリフをずらずら並べるのが目に見えているので意地でも言わないけど。
外野からわざわざ言われなくてもこのままではいけないと、本当は誰よりも分かっているのだ。
だけど心と体が拒絶する。
体と心がバラバラで歯車がくるってしまった今の私では、誰の言葉も私の中に巧く届かなくて。
それどころか困ったことに息苦しさを強くさせるだけで。
水の中じゃないのに、溺れてしまいそうだ。
ベッドの上に倒れ込んでお気に入りのぬいぐるみを抱きしめると顔をうずめ唇をかみしめた。
どうしてこんなことになったのだろう?
私が一体何をしたというのだろう?
何度考えたか分からない「どうして」はいつもみたいに空回り。
ふと視線をクローゼットに向ける。
クローゼットの中にはずっと私が憧れていた高校の制服がきちんとアイロンをかけた状態で収まっている。
初めて袖を通した時の感覚を今でも覚えている。
あの時は、期待と希望しかなかった。
「学校は行きたくない、な」
だけど今は。
袖を通すことすら煩わしい。
学校に行くことで不特定多数から私に向かって向けられるあの視線に耐えられない。
まぶたの裏に焼き付いて離れない無遠慮な視線の数々を思い出して吐き気がした。
トップだった私に向けられていた羨望と敬意は、泳ぐ事のできなくなった途端に、同情と哀れみに変わった。
でもきっと私の失脚を内心喜ぶ者が多くいたに違いない。あそこにいたのはライバルなんかじゃなくて、全てが私の椅子を狙う敵でしかなかったのだから。
一つしかない椅子を、今この瞬間も誰かが狙っている。
私が二度と座ることのできないあの椅子を。
正直に言えば、憎らしい。ドロドロと黒い感情が渦を巻く。
だが一方で誰にもこんな醜い自分を見せたくないと私自身が叫んでいた。そんなことをしては、自分が負け犬だと周りに主張しているようなものだ。僅かな動作や言葉の端々に、露見する事が恐ろしかった。
ちっぽけな私のプライドが、泣く事さえ許さなかった。