放課後。


とうとう振られちゃう…


まだ1日目だってのに…


嫌だ…やだよ…!


「亜華里?」


「あ、い、行く」


そして廊下。


階段沿いの、昨日の場所。


まさかここで振られちゃうのか…。


残酷すぎる…。


やっぱり、中学生の恋なんて…


「亜華里!!」


「はっはい!」


「もう…頼むから話聞いてくれ」


あ、ま、また私…


最低だよ…。


「ご、ごめん…」


「…恥ずいから」


「え?」


「名前、呼ぶの何か恥ずいから…!
一回で返事してくれ、頼むから…っ」


恥ずかしい?


下の名前だから?


「あ、亜華里は普通に俺のこと呼べるから良いけど…
俺はきんちょ―して呼べねぇの!」


「あ、う、うん」


「それに“付き合ってる”んだしさ…
もっと一緒にいてぇし、話してぇ。俺の話とか、聞いて?」


「うん!」


つまりそれは…


私が素っ気なく見えてたって事、だよね…


“付き合ってる”。そう言ってくれた。


あぁ…どうしよう。


すっごい嬉しい。


「今日部活だし、終わったら一緒に帰ろ!」

「…あぁ」


真っ赤な顔を手で押さえてそっぽ向く空汰。


「じゃぁまたな」


「うん!」


そうして美術室に向かった。