親なんて言う存在は知らない。
ただ暗殺に使う技術のみを教えられ、先生達の一族に仕えるモノ……それがあたし。
『己の意志を探せ』
山崎に言われた言葉が頭に強く残っている。
あたしの意志。
今までの暗殺にあたしの意志はあったのか?
いや、無い。
あったのは先生達の相手を憎む心だけだ。
なら……此処にあたしの居る意味はあるのか?
人を斬るだけなら、あたしじゃ無くても良いんじゃないか?
そんな思考を遮るかのように星空を眺める。
輝く星達は一つ一つが輝いていて、綺麗に見えた。
……あたしは、先生達のモノで終わるのか?
己の意志を見いだせないまま。
ただの道具か何かとして扱われ、生きていくのか?
そんなのは……
「嫌だ」
思った言葉は口から零れていた。
決心を固めた私は一つの風呂敷に荷物を積めると、それと武器を持ち逃げ出した。