そんなある日。


私がバイト上がりに、街を歩いていると。



「ちーな!」


真正面から男の人が手を振って、私の名前を呼んでいる。


誰!?


髪の毛が茶色くて無駄に髪が長かった。


ちゃらそうな人。


そのちゃらそうな人は、私に駆け寄ってきた。


段々と視界に顔がハッキリと映る。


「………。」


言葉が出なかった。


「元気してた?久しぶりだね」


何もなかったかのように、あの時と変わらず笑ってくれる。


あんなひどい別れ方をしたのに。


「うん。元気だよ。海斗、髪伸びたね。一瞬誰かわかんなかったよ。」



少し気まずくて、愛想笑いしか浮かばなかったけど、少し伸びた髪もよく似合っていた。



元々美少年だったけど、さらにかっこよくなっていた。