時計を見ると、10時半を指していた。

 なんとなくだけど、今日、まだまだ家には帰れないなと思った。

 そして、帰りたくない。

 家では、もうお母さんがお父さんに、私が妊娠したということを言っているだろう。

 お父さんに何て言われるか…想像しただけで怖い。



 「…亜美、今すぐじゃなくていいから、なるべく早く決めよう。俺も、色々考えたい」


 康太から聞いたことはないけど、康太にだって夢があるはずだ。

 私一人で決めていい問題じゃない。