「……なんかあったかいの飲む?俺買ってくるよ」

 「ううん、いらない」

 「そっか……」

 立ちかけた康太が、再びベンチに座る。


 「………俺は、亜美が産むっていうなら、高校中退して働くよ。でも、亜美が教師になりたいって夢も…諦めさせたくない。…亜美は、どうしたいの?」
 

 
 私は…どうしたいのだろうか。

 でも何より、康太が高校を中退して働く、と言ってくれたことが嬉しかった。

 私が今までに見たマンガやドラマでは、「堕ろせ」っていう男の人がほとんどだったから。



 康太と一緒なら、何でも乗り越えられる。そう思った。


 こんなにも私の事を考えてくれるのは、康太しかいない。


 少しだけだけど、私は大学を諦めてもいいかも、と思った。