時計は、11時半を指していた。

　いつもならもう寝る準備をしている頃だろう。

　でも今日は、寝られる気がしない。


　「ただいまー…」

　「亜美？お帰り」

　玄関のドアを開けるなり、リビングでお母さんの声がした。

　出勤が朝早いお母さんがこの時間に起きているのは珍しい。


　リビングにはきっと、お父さんもいる。


　出来ればお父さんと面と向かって話したくはないけど、今回のことは私と康太がちゃんとしなかったせいでこうなった訳だし、きっちり言わなきゃいけない。