さて、宣言したところで、私の想い人の紹介をしようか。

名前は星雅都くん。
雅な都って名前の通り、本人もどことなく雅な感じが漂う男の子だ。
わからないって人でもなんとなく感じ取って欲しい。説明が難しいから。


容姿は普通。
髪はサラサラ。それこそ、小説なんかで良くある、漆黒を溶かしたようなって表現が合うんじゃないかな。
目の色はちょっと茶色。近くでみた事はないから、良く分からないけど。


星くんにはとっても仲のいい、親友と言ってもいい人が居て、名前は渡瀬慎。
クラスの人気者で、人懐っこくて面白い人だ。おそらく、小説で主人公が好きになるべき人は渡瀬くんのほうだと思う。彼はそういう素質を集めたような人だよ。
髪は栗色。目はミルクチョコレートの色。
私が星くんを好きになったキッカケの一部は彼のせいであるとだけ言っておく。

まぁ、こんな感じかな。
そんなことを考えているうちに、クラスの真ん中の方ではまた騒ぎが始まったようだ。
詳しいことはそれが収まってから考えることにしよう。




ただいまの時刻、12時40分。
つまり、お昼休みだ。騒ぎっていうのは、なんてこともない。渡瀬くんのお弁当係の件で揉めているのだ。別に、渡瀬くんが強要してたり、そう言う事ではないんだよ?

入学当初から人気者だった彼に、自分のお弁当を食べてもらいたいという女子が集まっただけなんだ。
まぁ、はじめの頃に喧嘩になったことがあるんだけど…。そのときに、お弁当当番制同盟というものが締結されたんだ。
渡瀬くんは自分で弁当を持ってきていたんだけど、女子の気迫には負けたらしく、結局了承してしまった。
渡瀬くんは星くんと目を合わせながら、苦笑してた記憶がある。

で、なんで騒ぎになっているかと言うと…。


「今日の当番は私でしょう!?」


とまぁ、こういうことだ。誰かが規約を破ったらしい。
これは友達から聞いた話何だけど、月に1回、当番会議なんてものを開いているらしい。そこで何日に誰が作るかを決めているそうだ。…果てしなく面倒だと思った。
でも、それで大きな喧嘩はなくなったのだから、いいことなのかな?

そんなこんな考えているうちに、よく通る声がクラスに響いた。


「じゃあさ、慎が片方家に持って帰って夕飯にしたら?夏じゃないし、腐らないでしょ。流石に慎も2つは食べられないだろうしね。」


星くんの声だ。まさにそれは鶴の一声だったようで、争っていた女子はそれで納得したようだ。

私は星くんのこういうところに惹かれたんだと思う。
結局見るだけだった私は大急ぎで弁当を食べて、次の日本史の小テストに備えて勉強した。