「うぅー…」
朝、学校に登校してから何度目かもわからない唸りをあげる。
両手でケータイをギュッと握り締め画面とにらめっこすること数十分。
「メグ、いつまでそうしてんの?」
私のその姿を見兼ねた親友のマナが呆れ顔をしていた。
「だってー…。」
「さっさと連絡したらいいじゃん、ケンゴさんと仲直りしたいんでしょ?」
マナは私に諭すように言葉を続ける。
「早くしないと本当に終わっちゃうんだよ…、それでもいいの?」
"終わっちゃう"その言葉が私の心にグサッと突き刺さる。
そんなの嫌に決っているけど…
「でも…ーーー」
ケンゴさんの中では、もう終わっているかもしれない…、
それを知るのがすごくこわくて、連絡できないでいる。
"ケンゴさん"
私の大好きな人。
大学3年生で、口は悪いけど、優しくて真面目な人で、私にはもったいない位素敵な人。
一週間前まで私の彼氏だった。
バカみたいに嫉妬して彼を傷付けてしまった。
一週間前。
ケンゴさんが綺麗な女の人と二人で歩いている所を偶然みかけて、バカみたいに悪い妄想をして、彼の話もちゃんと聞かずに一方的に自分の感情をぶちまけて別れを告げた。
すごく、自分勝手なことをした。
落着いて考えれば彼がそんな浮気なんてするはずないのに。
それからケンゴさんとは連絡を取ってないし、彼からの連絡もない。
だから…
「…うぅー…、できないよ…」
自分から終りにしたくせに…都合がよすぎる。
あの時は、思考回路が壊れたみたいに悪い事しか考えられなくって…。
酷い被害妄想と、嫉妬心でいっぱいだった。
ただでさえ、なかなか会えないうえに私はまだ高校三年で年の差があって不安だらけだったから。