ぴか、と空が光った。

その一瞬後、大きな音が内臓までも揺らす。

「きゃ…」

姫は小さく悲鳴を上げ、俺の肩にしがみついた。

体が小刻みに震えているのが分かる。

掛ける言葉を探していると、ぽつと水滴が鼻の頭を濡らした。

「ち…ここに来て、雨か」

呟く間にも雨足は強くなってくる。

姫も、俺におぶさっている分余計に雨粒が当たって冷たそうだ。

文句は言わないが、気持ちが悪いと食い縛った歯が物語っている。

もう一度大きな雷が鳴る。

びくりと体を震わせた姫は、しかし今度は声を出さなかった。

代わりに目がうるんでいる。

いかにも泣き出す一歩手前、といった風だ。