「あ、あれは…?」

今まで見た、どんな真珠や貝より美しい。

思わず見いると男も、姫が夜空に見惚れているのだと気付いた。

「そうか、姫はきちんと見たのは初めてか。

どうだ、あれが夜空だぞ」

満足げに空を指差す男の態度も気にならない程、姫は一心に天を見ていた。

「はい…美しい、ですね」

魂が抜けたようにコクリと頷く姫。

男はここぞとばかりに顔を近付けた。

「外には、このように綺麗なものが無限にあるんだ。

俺と見に行かないか?」

その台詞は、今まで男が贈ったどんな愛の詩よりも姫の心を動かした。

ずっと恋焦がれていた外の世界を、生きられるというのだから。