がったん。

質の違う音がする。

本能的に、肌が粟立った。

……侵入られる……!

分かった頃にはもう遅い。

心細さと、自分が弱いと分かっているからか抵抗してはいけないと無意識が身に命令していた。

声を出して家人を呼ぶことすら叶わない。

蔀が取り外され、真っ暗な世界が見えた。

あれが…そと。

黒くて遠い…穴のような。

ぼうっとそう思ったのも束の間。

開いた空間に男の人が現れる。

柔和な顔付きに、高い体。

大きな手が私の目の前に伸びた。

「姫!俺と来てくれ!」

「…は、い?」