それは、まだ高校生のころ、

時々あなたから微かにした香り。


土曜の午後の2時間が、あなたを独占できる時間だった。

その香りをまとってやってくる日は、

やけにごきげんで、

寝不足な顔をしていた。


私の「眠いの?」

と言う質問に、

「大人の事情。」

そう言って笑ってた。

さっきまで彼女といたんでしょう?

昨日の夜から一緒だったんでしょう?

高校生の私にだって想像つくのに、

子ども扱いしてごまかしたつもり?

あたしはすべてを飲み込んで、

いつかあなたを自分のものにするという野望を

心の奥で燃やしていた。