「言い残したことって言っただろ?

 『もし、ミモリが俺の嫁になってくれるなら、
  見合いの話は断るつもりだ』

 そう言うつもりだった。

 これ言わなきゃ、この話した意味がないって、
 慌てて戻って来たんだけど……」

「そ、そんな大事なことなんで言わないのよ!」

「お前が悪いんだぞ、
 会ってみろなんていうから、
 ショック受けたんだ。

 好きな奴に、そう言われて平気なわけないだろ?」

「何よ!私だけが悪いの?」

「いや、そうだな、
 同罪だ。

 俺達
 始め方を間違えてたんだよ。

 その上、怠けてたんだ、
 身体の関係から始めたせいで、
 気持ちを確かめる努力をしなかったんだ。
 
 普通は寝る前にまず気持から確かめるもんだもんな。」

「ミモリ俺お前が好きだ。

 その、

 え~と……」


「?」


「……愛 し…てる。」

言い終わらない内に重ねられた唇は、

もう二度と離れないいじゃないかと思うくらい長い間、
その場所に留まった。

深く、
浅く、
優しく、
激しく、
吐息と一緒に。