「……ミモリそれほんと?」



声のする方を見上げると、

良平が玄関に立っていた。


「良平?……なんでいるの?」

「あ、言い残したことがあったから、

 戻って来たんだけど、……」

「……何?」

「いや、必要無かったかも?」

くすくすと笑いながら、

「お前、酷い顔してんぞ。」

「うええっやだ、マスカラ取れてる?」

慌てて顔を隠そうとした私の手を、
さっと払って、
両手で包みこんだ。

「けど、見せてよ。
 俺のために感情的になったミモリの顔。
 見たい。」

泣いてぐちゃぐちゃになった顔は、
良平の大きな手で優しく包まれて、

良平の顔は今までかつてないほど接近してて、

行く場を失った私の視線は、右往左往して、
顔は熱く上気した。

「ミモリは俺の事なんて、
 なんとも思ってないのかと思ってた。

 ごめん試すような事して。」


「試す?」