良平がかけがえのない存在になっていた事を
私は認めたくなかった。

失うのが怖かった。

メンドクサイ女って思われたくなかった。

気持ちを隠して置くことで、
繋ぎとめておきたかった。

恋人なら別れたら他人だけど、
友だちなら、友達のままなら
一生続いていくなんて、

何かの本で読んだけど、
友だちのままでいるって事は、

誰かのものになる良平を、
笑ってみ送らなきゃ。

私を癒してくれる大きな温かい手のひらを
手放せなきゃ。

良平なしで笑っていられなきゃ。

友だちでいるために全部我慢しなきゃ。

「そんなの、
 
 そんなの、

 無理だよ。

 嫌だよ。

 どうしてなの?

 どうして私じゃ駄目なの?

 良平が好きなのに!

 こんなにも良平は私の中にいっぱいなのに

良平をこんなに愛してるのに!」


誰もいない部屋で私は叫んだ。

溢れる涙も拭わずに

全身から込み上げる悲しみの渦に

抗わないで、ただ叫んだ。