「へえ、そう。
 私には関係ないことだわ。」

亨の手からプリンをひったくると、
逃げるようにコンビニを飛びだした。

帰る場所もないのに……


『言っとくけど、お前が本気になれる男は俺だけだぞ』


あの時あいつが放ったもう一つの言葉は、

ずっとずっと、

まるで呪縛のように私を縛る。





馬鹿じゃないの、

本気って何?

あんた私の本気を知ってるの?

愛って何かって、誰もが知ってて付きあってるって事?

好きでちやほやされてるわけじゃないんだから。


勝手に周りが見た目で寄ってきて、
お姫様扱いするんじゃない。

原 亨だって、顔でナンパしてきた一人じゃない。

でも、心のどこかで分かってた。

誰も本気じゃないって事。

私も本気になんてなれない事。

失って気づく大切なもの。

本気だった私を否定した言葉。


それを吐いた男は心にずっと住んでいて、


『本気じゃないだろ?』


そう言って私を否定する。