「嘘でしょ?」

兄の結婚話に、驚きを隠しきれない。

兄の結婚相手は、幼馴染のまひる。

私より2歳年下で、高校の後輩。

兄はその彼女と結婚するというのだ。


なんでそんな事になってんの?

こういう話になる前に、
私は何も知らないってどういうこと?

家族である私を差し置いて、
隣で笑顔をつくるまひるに、
妙に腹が立って憤る。

「お前も、まひるとは仲良かっただろ?

 これからも仲良くしてやってよ?」


「そりゃあ、可愛い後輩だし、
 けど、
 お兄ちゃんの結婚となると話は別だわ。

 義理でも姉になるわけでしょ?

 年下を『お姉さん』とか呼ぶの?

 そんなの受け容れられないよ。

 何処がいいの?

 大体まひるってダサイし、
 お兄ちゃん趣味悪いよ!」

目の前の彼女は見る見る顔色を変えて、

「ごめんなさい」

そう言い残すと、部屋を飛び出した。


「まひる!」

お兄ちゃんは慌てて追いかけ、
残された私に、
両親は非難の目を向ける。

「なんてこというの?
 まひるちゃんいい子じゃない。

 大体今時同居してもいいなんてお嫁さん、
 見つからないんだから。」


「あたしが出て行けばいいんでしょ!」

夕食に手を付けずに家を飛び出した。