「まいごのまいごのこねこちゃん、

 あなたのお家はどこですか~♪」


「せんぱーい。恥ずかしいから歌うのやめて下さいよ。」

「うるひゃ~い、この美声を聞けるなんて幸せなんだぞう~!」

「ああ、もぉ、よっぱらい

 先輩ったらあ~」


このぐでんぐでんに酔っぱらってるのが、
あたし
錦上花音(きんじょうかのん)。

派出所勤務の彼 中城 陸(なかじょうりく)

そう、街のおまわりさんと付き合い始めてはや3年。

そろそろいいんじゃないの?

なんて気持ちの準備を始めてたのに、
なんなのこの仕打ち。

『そろそろ潮時なのかもね。』

昨日の電話でのアイツの言葉が耳を付いて離れない。

『何よそれっ』

って言ってやりたかったのに、
あまりのショックで言葉にならなかった。

無言になってしまった私に、

彼は、

『後で、会ってゆっくり話そう。』

そう言って会話を終えた。

何を話し合うの?

別れ話?

酷いよ、一方的すぎるよ。