「どちらさま__「隣に越してきた山下ですー」
言葉をかぶせてきた奴は、なんだか見たことある顔で。
「・・・あ。1組の・・・」
「あれ、おんなじ高校?確かにびちょびちょだけどうちの制服・・・」
目の前の黒髪の顔のちっちゃい奴は、たしか1組のモテモテ男・山下海斗(やましたかいと)。
噂だと、イケメンで、高身長で、性格も優しい・・・らしい。
「・・・山下・・・海斗?」
「あ、案外俺って有名?えっとお名前・・・」
「・・・3組の柳川菜緒です。ちょっと今日はこんな状態なんで早く帰ってもらっていいですか」
確かにイケメンだけど、あたしの王子様は斉藤先輩だから興味なし。
「あ、じゃあこれ。挨拶みたいなものらしいんで。じゃ」
そう言って半ば投げつけられたような菓子箱に入っていたのは、有名なお饅頭だった。