「え、わたしのこと知ってるんですか?!」
「知ってる。・・・ずーっと前からね」
「・・・えっ?」
驚いた私の顔を見てふふっと笑った先輩は、冗談だよ、とつなげた。
「今日は雨が降りそうだから、はやく帰ったほうがいいと思って」
そう言われて外を見ると、確かにきれいな夕日・・・と言うよりは、雨雲が徐々に空を覆い始めてた。
「急いで帰らなきゃ!」
傘を家に忘れた今日は、ぬれたらぜったいにやばい。
「こけないようにね、菜緒ちゃん」
にこにこと王子様スマイルを浮かべながらそういう先輩は、本当に天使に見えた。
「じゃあ、ありがとうございました!」