8人の生徒の顔を見て
最悪 だと
心から思った。
「お、遅れてすみません....」
震える声でもう一度言った
「4時ジャストだ。座りなさい」
「は、はい....」
こっわぁぁ....何この顧問!
メガネのおじさんじゃん!!
優しい二十歳くらいのお姉さんじゃないの!?
「あ、愛....っっ!」
その声に席の方を見ると
懐かしいような1つの光が見えた。
「雪ぃぃぃぃい~っっ!」
色白でニキビ1つない、柔らかそうな肌。
スラッとした腕。指。足。
ちょっとタレ目で
黒めの髪をポニーテールにしてるのは
昔と全然変わらなかった。
「愛もマネ部だったんだぁ~!」
白い歯がキラキラした笑顔で微笑みかける。
そんな彼女は
「雪ぃぃぃ~!」←本日2回目
糸乃 雪(いとの ゆき)
私の親友!!
雪とは小さい頃よく遊んでて
小学校では1度も同じクラスになれなかったけど
廊下で会うたび笑顔で手を振り合って
昼休みは毎日のように遊んでたっけ....
中学入ってからは忙しくて何も話してなかったから
まさか同じ部活になれるなんて....!!
まさに、運命っ!
ドアの前で雪に
「部活一緒なんて、最高だねっ!」
なんて大声で叫んでしまい
先生に睨まれた
「す、すみません~....」
ガタッ
雪の隣に座ると
懐かしくて仕方なかった
「........ほんとうるさい奴」
その声に私は凍りついた
その声は先生まで届かないけれど
ここにいる9人には絶対聞こえた大きさで。
私の後ろから耳に響いた。
思わず振り返ると
頬杖をついたマスクの女....
ポニーテールにした
そこまで長くない髪の毛は
変わってなくて
マスクからもれる大げさなため息。
「はぁっ....」
この人こそ、私の
小学校時代を切り刻んだ
張本人。
井野 嵐(いの あらし)