「え、どこどこ」
 

彼女の視線を追って窓から身を乗り出すと、中庭のベンチにたむろする男子たちが目に入った。
 
類は友を呼ぶ、なんてことわざを地で行っているような彼らは、

揃いもそろって顔が整っていて、顔面偏差値トップ5なんて呼ばれている。
 

どこに居ても目を引く彼らは、わたしとは対極の存在だ。
 
そんなグループのなかに、高槻礼央は属している。
 

黒髪の男子なんて、この学校では大半を占めるくらいなのに、

茶髪しかいないトップ5のなかにいるせいでとても目につく。

 
いや、もしあの輪の中にいなくても、わたしは彼の姿を一瞬で探し出せる自信がある。


「何がそんなにいいんだ? 話したこともないくせに」
 

朝子の口調はいつも男子みたいにぶっきらぼうで、おまけにひんやりしている。
 
参考書から目を逸らさず、わたしの観察対象に興味はないけど、

とりあえず義理で訊いている、といった感じの声音だ。