「俺、奈央ちゃんのことが、すごく、好きみたいなんだ」



衝撃とともに、背筋を何かが駆け抜けた。


恐怖とも、快感ともつかない、奇妙な感情が。



何も恐れることのない学年トップのアイドル男子に、こんな苦しそうな顔をさせているのが、

この、わたしだというの……?


罰ゲームでも何でもなく、本心から、星野彗は、わたしを好きだと言っている。



――他人に好かれるってすげーことだよなぁ。それだけで、認められた気分になる。



兄の翔馬に言われた言葉が、フラッシュバックのようによみがえった、そのとき、

星野彗につかまれていた手を、強引に剥がされた。