「奈央ちゃん、俺と付き合って」

「……え?」

「セイ!」


耳を疑っているわたしの傍らで、高槻くんが慌てたようにベンチから立ち上がった。


「何言ってんだよ、お前……っ」

「なんだよレオ、邪魔すんな!」


高槻くんの手を振り払い、星野彗はまっすぐに視線をよこす。


それは、今までに見たことのない真剣な表情で、わたしは息をのんだ。


「学祭の日以来、奈央ちゃんのことが頭から離れないんだよ。俺、女の子と付き合うの慣れてるはずなのに、こんなこと初めてで」


両手をしっかり握られたまま、目を逸らすことができなかった。


アイドル顔負けのきれいな顔を、苦しそうに歪めて、

星野彗が、地味ブスだとののしっていたわたし自身に、想いを告げる。