学年1のアイドル男子が目の前に現れたのに、恐怖に近い感情がこみ上げる。
鏡なんて見てなかったから、すっかり忘れていたけれど、わたしは今、変身している最中なのだ。
「なんだよレオ! やっぱ知り合いだったんじゃねえかよ!」
となりの高槻くんに噛みつくように言ってから、
星野彗はなんのためらいもなく、わたしの両手をとった。
冷えた手の感触に、ますます身体が硬直する。
「会いたかった……。ずっと君を捜してたんだ」
「おい、セイ」
横から腕を伸ばし、高槻くんが星野彗の手をつかもうとする。
それをよけるように、学年ナンバー1はわたしを引っ張って強引に立たせた。
背後で停車していた電車が、音を立てて走り出していく。
ガタンゴトンと鼓膜を震わせる音がホームから去ったとき、きんと耳に響く声で、
星野彗が信じられない言葉を吐いた。