「実は……小塚に、黙ってたことがあって」
かんかんかんと、どこからか踏切の音が聞こえてくる。
照明に照らされた駅のホームから見ると、線路の向こうは真っ暗な闇だった。
周囲を草木に覆われているせいか、明かりひとつ見当たらない。
ときどき、飛行機の小さな光が空を斜めに上っていくのが見えた。
「実は、俺……」
どことなく言いづらそうな高槻くんの低い声は、
何か覚悟のようなものを感じさせる響きがあった。
そんな口調に、わたしも覚悟を決める。
「罰ゲームの、こと?」
「え……」
そのとき、反対方面の電車がホームに滑り込んできて、ふたりの会話は途切れた。
風にあおられて、髪がさらわれる。