幾度となく飛行機を見送って、すっかり陽が沈んでしまうと、高槻くんは立ち上がった。


「帰ろうか」


暗くなった空を、鋼鉄の鳥はいくつもの光を身体にまとって渡っていく。


その眺めはやっぱり壮観で、わたしはできることならずっとこの場所にいたいと思ってしまった。

高槻くんとふたりで。



来た道と同じ一本道は外灯に照らされていてもやっぱり暗くて、高槻くんはわたしの手をしっかり握ってくれた。


人がほとんどいない駅のホームでベンチに座り、帰りの電車を待つ。

ひんやりとしていた空気が、すこしずつ冷気を帯びていき、足元が冷えはじめる。


ふと、となりに座っていた高槻くんが、

反対方面の『電車がきます』と書かれた電光掲示板を見やりながら、

思いつめたように言った。