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午前中から出かけるわたしにメイクを施したのは、驚いたことに翔馬だった。


「俺の手先の器用さを舐めんなよ」と、

ケータイの動画を見ながら見よう見まねでわたしの顔を作っていったのだ。


用意がいいんだか気色悪いんだか、

兄は学園祭のときにキリカさんのメイク手順を、ケータイでムービー撮影していたらしい。


そして実際に、翔馬は飲み込みが早いうえに手先が器用だった。

今は見るからに頭が軽そうだけど、中学の時に優等生だったというのは伊達じゃない。


「どうだ、この出来栄えは」