大学に入って、見た目をがらりと変えて、自ら変身をした兄の言葉は、やけに説得力があって。

わたしは、ライトに照らされた横顔に見入ってしまった。


「他人に好かれるってすげーことだよなぁ。それだけで、認められた気分になる」


そう言う翔馬が、さっきのショップの店員さんから密かに電話番号が書かれたメモを受け取っていたことを、わたしは知ってる。

女の子たちに騒がれるようになって、たくさんの好きをもらって、

翔馬は軽い性格になったけれど、同時に明るくもなった。


「お前がお前をあきらめたら、誰もお前を救えない」


プアンとどこかでクラクションが響いてる。

頭の中を揺らされたような気分だった。


後部座席に無造作に積まれた、お小遣い半年分の買い物袋を見つめて、わたしはシートに深く沈みこんだ。


身体に巻き付いたシートベルトを引っ張ると、固く突っ張って、それ以上は緩めることができなかった。