眉を整えられているうえに伊達メガネをしていないせいか、やぼったさがなくなり、
可愛いとまではいかなくても普通くらいには見える。
「おう、いいじゃねーか」
「妹さん、よくお似合いです」
兄と店員さんに褒められ、まんざらでもない気持ちになったものの、
靴と服と化粧品を買った合計金額を目にして、頭が真っ白になった。
「お、おこづかい半年分……」
助手席でレシートを広げてわなわな震えているわたしをよそに、兄はエンジンをかけて車を発進させる。
免許取りたての翔馬の運転は正直、乗っていて命の危険を感じるくらい怖いのだけれど、
レシートに並んだ数字が衝撃的すぎてわたしは放心状態だった。
「お前もバイトすりゃいいじゃねーか。女子高生なんて金を使いたい盛りなんじゃねえの」
「だって今まで全然お金使わなかったし……」
「ホント、お前って人生損してるよなー」
「……」